Turkeyriceの勝手に英訳ブログ Turkeyrice's Blog Written in both Japanese and English

音楽,映画,本,テレビ,長崎のことを好き勝手に日本語プラス英語で書いています。2017年に英検1級取得。Talking about Music, Films, Books, TV Programs, and Some Things in Nagasaki

読書

007シリーズ原作の魅力: 「ドクター・ノオ」② The attractiveness of the original series of 007 books: The fifth volume, 'Dr. No' (1958)

Doctor No (English Edition) 作者:Fleming, Ian Amazon 小説の007シリーズにおいて「ドクター・ノオ」の前作にあたるのが、「ロシアから愛を込めて」です。小説としての完成度から言えば、「ドクター・ノオ」はこの前作に及ばないのかもしれません。しかし…

007シリーズ原作の魅力: 「ドクター・ノオ」The attractiveness of the original series of 007 books: The fifth volume, 'Dr. No' (1958)

Dr. No (James Bond #6) (Ian Fleming's James Bond) (English Edition) 作者:Fleming, Ian Amazon 初版は1958年。イアン・フレミングによる007シリーズの小説としては第六作となります。しかし、1962年、記念すべき映画化第一作となったのが、この「ドクタ…

ブックレビュー: 向田邦子ベストエッセイの感想②  Book Reviews: My Impressions of Kuniko Mukouda's Best Essays②

1929年生まれの向田邦子さんは、自分の父母とほぼ同世代です。戦時下の抑圧と困窮、戦後の混乱、高度成長と、まさに激動の時代を生きた世代です。エッセイのトピックには、今ではあり得ないような出来事が、数多く取り上げられています。 Kuniko Mukouda, who…

ブック・レビュー: 向田邦子ベスト・エッセイ Book Reviews: Kuniko Mukouda’s Best Essays

子どもの頃から、いつか読みたい作家の1人でした。最近、友人からおすすめされたのを良い機会と、ついに読むことにしました。すばらしい読書の時間となりました。 She was one of the authors I had wanted to read their works but I hadn't since my chil…

読みハマる本:西村賢太作「蠕動で渉れ、汚泥の川を」 Books I was hooked on: 'Zendou de Watare Odei no Kawa wo (Wriggle to Cross The Filthy River)' by Kenta Nishimura

友人おすすめの本に衝撃を受けました。西村賢太作、「蠕動で渉れ、汚泥の川を」です。338ページの文庫本ですが、一晩で一気読みでした。 I was deeply impressed by a book my friend recommended. The book is 'Zendou de Watare Odei no Kawa wo (Wriggle …

プラモデル楽しい!: 1/24 ベントレー 4.5L Blower① Building Plastic Models Is Fun!: 1:24 Bentley 4.5L Blower①

自分が何を作りたいのか、考える時間も楽しいものです。前回のトヨタ2000GTの時のように、お店に積まれた箱の中から選ぶのも、めちゃくちゃワクワクします。でも、今回のベントレーは、自分が見たところ長崎のお店にはなさそうだったので、ネットで検索して…

不朽の名作漫画:「あしたのジョー」 A Masterpiece of Manga That Never Fades: ‘Tomorrow’s Joe’

あしたのジョー(1) (週刊少年マガジンコミックス) 作者:高森朝雄,ちばてつや 講談社 Amazon シリーズ全20巻を久しぶりに読み返しました。もう何度目でしょう。読むたびに感動は深まります。巧みな構成に唸ります。切なさに涙がこぼれます。男子でこの漫画…

この夏一気読みした漫画:「ゴールデンカムイ」野田サトル 作・画 A Serial Manga I Binge-read This Summer: ‘Golden Kamuy’ written and illustrated by Satoru Noda

お盆休みの前、出勤すると机のそばに大きな紙袋がドカッと置かれていました。大量の漫画本です。笑顔で近づいてきた同僚の一言は、「読んでみてください」でした。全31巻、ええっ!こんなに!とたじろぎましたが、案の定ハマって、お盆休みに一気読みしてし…

大人もノレるTVアニメ:「SPY×FAMILY」 A TV Animation Series That Even An Adult Is into: ’SPY×FAMILY’

人気があるのもうなずけます。観るたびに好きになっていきます。TVアニメ「SPY×FAMILY」は、大人もノレる素敵な作品です。以下、公式サイトの紹介文です。 It deserves its popularity for sure. The more you watch it, the more you like it. A TV anime s…

007シリーズ原作の魅力③:第3作「ムーンレイカー」(初版1955年) The attractiveness of the original series of 007 books③: the third volume, ‘MOONRAKER’(published in 1955)

シリーズの中でも異色の作品です。そう感じる一番の理由は、海外情報部員であるはずのボンドの行き先が、イギリス国内であることです。それも、ドーバー海峡に面する白亜の崖、そこに建設されたミサイル発射基地という限られた場所が、今作におけるボンドの…

007シリーズ原作の魅力②:第2作「死ぬのは奴らだ」(初版1954年) The attractiveness of the original series of 007 books②: the second volume, ‘LIVE AND LET DIE’(published in 1954)

Live and Let Die : James Bond: 007 (English Edition) 作者:Fleming, Ian Amazon ここには明らかな人種差別があります。それは、作者フレミングの思想であると同時に、1950年代という時代における一つの通念だったことは否めません。70年近くが経った今で…

歴史小説の楽しみ:司馬遼太郎著「竜馬がゆく」(第5巻) The Delights of Historical Novels: ‘Ryoma ga Yuku’ by Shiba Ryotaro (the fifth volume)

今の時代から見ると、明治維新というのは歴史の自然な流れの様に思えます。しかし、フランス革命やロシア革命と性質は異なるにせよ、倒幕運動というのは間違いなく一つの革命であり、それが達成されるためにはたくさんの命が費やされたのでした。 From the s…

歴史小説の楽しみ:司馬遼太郎著「竜馬がゆく」(第4巻) The Delights of Historical Novels: ‘Ryoma ga Yuku’ by Shiba Ryotaro (the fourth volume)

勝海舟との出会いを通じて、自分の行き方が定まる坂本竜馬ですが、どうやらその道が時勢の流れに差し掛かるのはまだまだ先のようです。 Sakamoto Ryoma finally decides how to live his own life through the encounter with Katsu Kaishu but it seems to …

歴史小説の楽しみ:司馬遼太郎著「竜馬がゆく」(第3巻) The Delights of Historical Novels: ‘Ryoma ga Yuku’ by Shiba Ryotaro (the third volume)

土佐藩を脱藩して路銀もないまま江戸にもどる竜馬の姿はまだまだ頼りないのですが、この間、清川八郎と道中をともにします。のちに新選組の立ち上げにもかかわり、幕末の騒乱の引き金にもなる人物と、坂本竜馬との間にこのような交わりが本当にあったかはわ…

歴史小説の楽しみ:司馬遼太郎著「竜馬がゆく」(第2巻) The Delights of Historical Novels: ‘Ryoma ga Yuku’ by Shiba Ryotaro (the second volume)

諸流試合で優勝するほどに剣術の道を究める竜馬ですが、まだ時勢の外に居て自分の行き方を定めずにいます。 Ryoma had improved as a swordsman to the extent that he won a tournament which featured swordsmen from various schools, even so he was out…

歴史小説の楽しみ:司馬遼太郎著「竜馬がゆく」(第一巻) The Delights of Historical Novels: ‘Ryoma ga Yuku’ by Shiba Ryotaro (the first volume)

文庫本の裏表紙に書いてある、あの内容紹介というのは、短いながらもそれを書く人はきっと渾身の努力で書いているのに違いありません。あれで掻き立てられる読みたい気持ちは、それ自体が喜びといっていいものです。 The summery on the back cover of a pap…

歴史小説の楽しみ:司馬遼太郎著「竜馬がゆく」 The Delights of Historical Novels: ‘Ryoma ga Yuku’ by Shiba Ryotaro

主人公の魅力というのは、物語の面白さを決定づける大きな要素に違いありません。ときには、読み終わるのが切なくなるくらい、主人公に感情移入してしまうことがあります。ましてや、それが歴史上に実在した人物であり、しかも非業の死を遂げると知りながら…

読んだらやっぱりすごかった:漫画「鬼滅の刃」 Once I started reading, I realized how good it was: The series of comic books called ‘Kimetsu no Yaiba (Demon Slayer)’

コミックス全23巻一気に読みました。こんなに面白いもの、よく今まで読まずにいれたものです。以前、「呪術廻戦」の感想の際に、「『鬼滅の刃』にはノリ損ねた」とか書いていました。情けないです。恥ずかしいです。今さらですが、本当に面白い漫画です。 I …

子どもの頃床屋で読んだ漫画:永井豪「へんちんポコイダー」 A Manga Book I Used to Read at a Barber in My Childhood: ‘Henchin Pokoider’

このタイトルのワクワク感はどうでしょう。バカな男子にとって、声に出して読みたい日本語一位かもしれません。死ぬ前に心によぎる言葉がこれだったらどうしようと、へんな心配までしてしまいます。小学生の頃に床屋で読んで以来、ずっと気になっていました…

歴史小説の楽しみ:「最後の将軍」司馬遼太郎作 The Delights of Historical Novels: ‘Saigo no Shogun (The Last Shogun)’ by Shiba Ryotaro

今夜から、大河ドラマ「青天を衝け」が始まります。主役は渋沢栄一ですが、彼の人生を語るにおいて欠かせない人物がいます。江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜です。 The NHK Taiga historical drama called ‘Seiten wo Tsuke (Reach beyond the Blue Sky)’ star…

洋書レビュー(前回の続き):「ザ・ヘイディーズ・ファクター(地獄の因子)」ロバート・ラドラム、ゲイル・リンズ共著(初版2002年) A Review of an English Book (the sequel to the last article): ‘The Hades Factor’ by Robert Ludlum and Gayle Lynds (published in 2002)

アメリカ国内で同時に、しかし互いに離れた3か所で発生した謎のウイルスによる感染症について、最初の糸口をつかむのは、ソフィア・ラッセルという名の女性医師です。国立の感染症研究所に勤務する彼女は、このウイルスのDNAシーケンスデータに奇妙な既視感…

洋書レビュー:「ザ・ヘイディーズ・ファクター(地獄の因子)」ロバート・ラドラム、ゲイル・リンズ共著(初版2002年)  A Review of an English Book: ‘The Hades Factor’ by Robert Ludlum and Gayle Lynds (published in 2002)

The Hades Factor: A Covert-One Novel 作者:Robert Ludlum,Gayle Lynds 発売日: 2000/06/22 メディア: Audible版 タイトルからは想像がつきませんが、謎のウイルスによるパンデミックのお話です。ペーパーバックで400ページを超えるこの本は、全編を通じて…

平和への想いが深まる本:H.G.ウェルズ著「世界史概観」② A Book That Makes Me Long for World Peace Even More: ‘A Short History of the World’ by H.G. Wells ②

一見、ただの歴史書に見えるこの本が、戦争の抑止についての示唆を与えていることは、出版年を見ると、よくわかります。 At first sight this book looks like an ordinary history book, but it is apparent from the year when the book was published tha…

平和への想いが深まる本:H.G.ウェルズ著「世界史概観」① A Book That Makes Me Long for World Peace Even More: ‘A Short History of the World’ by H.G. Wells

平和でなければ、ポップカルチャーも楽しめません。というか、戦時にもっとも後回しになるのがそんなエンターテインメントの分野にちがいありません。長崎の人間としては、8月9日を迎えるたびに、そう思ってしまいます。平和について考えることを、政治家や…

持ってるだけで嬉しい本:AKIRA(作・画 大友克洋)の魅力④ この物語の革新性 Books That Makes Me Feel Happy Just By Owning Them: The Attractiveness of AKIRA (written and illustrated by Otomo Katsuhiro)④ A work full of innovative ideas

まず、漫画としての新しさを感じました。写実的な絵柄、大胆なコマ割りなどそれまでになかった要素がいっぱいでした。でも、その革新性は、漫画としての手法にとどまらず、この物語の世界観そのものに表れているように思います。 In the first place, there …

持ってるだけで嬉しい本:AKIRA(作・画 大友克洋)の魅力③ 登場人物の魅力 Books That Makes Me Feel Happy Just By Owning Them: The Attractiveness of AKIRA (written and illustrated by Otomo Katsuhiro)③ The Attractiveness of the Characters

前回述べた設定だけで、この物語の面白さはもう約束されたも同然です。しかし、さらに登場人物の性格付けが面白さに拍車をかけてきます。主な登場人物について列挙します。 This story looks already promising with just the settings I mentioned last tim…

持ってるだけで嬉しい本:AKIRA(作・画 大友克洋)の魅力② 設定の面白さ Books That Makes Me Feel Happy Just By Owning Them: The Attractiveness of AKIRA (written and illustrated by Otomo Katsuhiro)② The Intriguing Settings

物語の舞台は2019年、翌年の2020年にオリンピックの開催を控えたネオ東京です。今、2020年を生きている自分たちにとって、これほどワクワクできる設定はあるでしょうか。 The story is set in 2019 in Neo Tokyo, where the Olympic Games are going to take…

持ってるだけで嬉しい本:AKIRA(作・画 大友克洋)の魅力① 映画のような仕立て Books That Makes Me Feel Happy Just By Owning Them: The Attractiveness of AKIRA (written and illustrated by Otomo Katsuhiro)① Its Movie-like Structure

1984年の秋、友達の家で第一巻を手に取った瞬間が忘れられません。漫画の単行本として見たことのないその大きさと、小口にまで着色された凝った装丁に心を奪われました。そして、ページを開いて出会ったのは、見掛け倒しではない、本当に魅力的な世界でした…

007シリーズ原作の魅力:第一作「カジノ・ロワイヤル」(初版1953年) The attractiveness of the original series of 007 books: the first volume, ‘Casino Royale’(published in 1953)

007/カジノ・ロワイヤル (創元推理文庫) 作者:イアン・フレミング 発売日: 2019/08/22 メディア: 文庫 時代遅れです。スノビズムにセクシズム、残念なことにレイシズムにまであふれています。批判すべき点が多くあるのは分かっています。それでも間違いなく…

公開が楽しみな映画:「007 No Time to Die」 A Movie I’m Looking Forward to Its Release: ‘OO7 No Time to Die’

4月に公開予定だった映画、007シリーズ第25作「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」の日本公開は、11月20日となっています。 The movie called ‘OO7 No Time to Die’, the 25th instalment in the 007 film series which was supposed to be released in April, …