ヒンヤリとしたミステリーです。岩館作品特有のユーモアは極力抑えられていて,一貫して緊張感が漲っている作品です。可笑しみにあふれる「冷蔵庫にパイナップル・パイ」と同時期に描かれたこのお話は,1巻に収まる短めのストーリーですが,少女たちの美し…
以前にもふれた漫画家,しりあがり寿さんには,サラリーマン三部作と呼ばれる3つの作品があります。御自身がサラリーマンとして,キリンビールのパッケージデザインをされていたしりあがりさんは,会社勤めの悲哀を織り交ぜながら,いかにも日本的で可笑し…
一人の人間の想像力が,ここまで大きな世界を構築できるものなのでしょうか。創作された物語として,こんなに規模が大きく,しかも破綻を感じない作品は,自分にとって初めてのように思います。 I’m wondering how a person’s imagination can establish thi…
TVドラマ「義母と娘のブルース」が終了しました。みゆきを育てたのは自分のエゴのためだと言い放ち,全ての心情を吐露した亜希子に対し,みゆきが言った「お母さん,世間ではそれを愛というんだよ」の一言に恥ずかしいくらい泣きました。 The TV drama “Step…
(2020年7月現在、残念なことに仏蘭西屋は閉店しています) ラムをベースとしたカクテル,「バカルディ」について先日の記事でふれました。仏蘭西屋でこのカクテルの話をしていた時に,「そのまま飲んでおいしかラムもあるとよ」と言いながらマスターが一本…
以前,このブログでふれた「冷蔵庫にパイナップル・パイ」と同時進行で,岩館真理子さんは別の作品の連載も始めていました。「うちのママが言うことには」です。ヤングユーに掲載されたこの作品は,結婚を前に揺れ動く若い二人,北風けいとと甘夏英太郎の姿…
(2020年7月現在、残念なことに仏蘭西屋は閉店しています) 長崎のバー,仏蘭西屋には意外なお客さんが訪れます。著名なノンフィクション作家,佐木隆三さんもその一人でした。この方が来るたびに飲んでいたカクテルがあるそうです。そのカクテルの名前は「…
朝日新聞では,「地球防衛家のヒトビト」という4コマ漫画が掲載されています。ほのぼのとしたタッチで,新聞の4コマ漫画らしい風刺とウィットに満ちたこの作品は,しりあがり寿さんが描いているものです。 90年代には,しりあがり寿さんが放つ,エッジの…
普通,ミステリーには探偵がつきものです。探偵でなくとも,中心になって謎を追求していく人物がいるというのが定石です。しかし,全く違う手法で描かれながらも秀逸で,しかも笑えるミステリーに出会いました。藤崎 翔さん著,「神様の裏の顔」です。 Usual…
長崎に住む人間として,心掛けていることがあります。毎年,1冊は戦争についての本を読むということです。戦争の悲惨さを実感し続けること,そしてできるかぎり知識をもつことが,戦争を回避するための最も大きな原動力だと思うからです。 As a resident in …
東野圭吾さんをミステリー作家と呼ぶのにためらいを感じています。基本的にはそうに違いないのですが,「白夜行」を読んだ際に,これは文学では,と感じたのを覚えています。とにかく人間が書けている,と思わせる何かがありました。非常に特殊な状況におか…
ダイエットや健康に関する本はあまり読んだことはないのですが,このところ友人や同僚に勧められて,そのジャンルの本を2冊,立て続けに読む機会がありました。どちらもたいへん説得力があり,惹きこまれました。今までぼんやりとしか理解してなくて,「だか…
(2020年7月現在、残念なことに仏蘭西屋は閉店しています) 行きつけのバー,仏蘭西屋のマスターは,時々本を貸してくださいます。その中の1冊に,「もし僕らのことばがウイスキーであったなら」という本がありました。著者は村上春樹さんです。小説ではなく…
子どもの頃から,ミステリーが大好きでした。初めは,ポプラ社発行,江戸川乱歩の少年探偵団シリーズにハマり,同社のシャーロック・ホームズ,怪盗ルパンシリーズにも手を出し,背伸びをして文庫本のシャーロック・ホームズを読んでちょっと大人になった気…
岩館真理子さんの週刊マーガレットでの作品は,前回紹介した「五番街を歩こう」で終わりますが,実際には,同時進行で同じ集英社のヤングユーでの連載がすでに始まっていました。「冷蔵庫にパイナップル・パイ」です。読み切り4ページの愛らしい短編形式で描…
マーガレットコミックスとしての,岩館さんの最後の作品は,「五番街を歩こう」です。このお話は三部作になっており,五番街という町の一角にあるコーヒーショップを中心にした人間模様が,一話ごとに主人公を変えながらつづられていきます。それまでには見…
きみは3丁目の月 (マーガレットコミックスDIGITAL) 作者: 岩館真理子 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2014/02/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 週刊マーガレットにおける,岩館真理子さんの幻想的な世界は,「わたしが人魚になった日」…
すすめ!!パイレーツ 完全版 第8巻 作者: 江口寿史 出版社/メーカー: フリースタイル 発売日: 2016/07/20 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 幼いころからギャグ漫画が大好きでした。小学校低学年のときに週刊少年チャンピオンで読んだ「ガキデ…
ALL ABOUT POP アーティスト: Shiggy Jr. 出版社/メーカー: Universal Music LLC 発売日: 2016/10/26 メディア: MP3 ダウンロード この商品を含むブログを見る うっとうしい梅雨の季節ですが,爽やかな曲を聞くと,晴れやかな気持ちになるものです。 数年前…
遠い星をかぞえて (マーガレットコミックスDIGITAL) 作者: 岩館真理子 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2014/02/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 現在,NHKで放送中の「半分,青い。」では,くらもちふさこさんのマンガがとりあげられ…
はみだしインディアンのホントにホントの物語 (SUPER!YA) 作者: シャーマンアレクシー,エレンフォーニー,Sherman Alexie,Ellen Forney,さくまゆみこ 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2010/01/27 メディア: ハードカバー 購入: 1人 クリック: 4回 この商品を…
日の名残り コレクターズ・エディション [AmazonDVDコレクション] 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 発売日: 2015/12/25 メディア: DVD この商品を含むブログ (6件) を見る 今年のゴールデンウィークも特に予定はなく,読みたかった…
ラプラスの魔女 (角川文庫) 作者: 東野圭吾 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2018/02/24 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る 東野圭吾さんの「ラプラスの魔女」を読みました。東野作品といえば,やはり理系テイストのミステリーを期待して…
わたしが人魚になった日 (マーガレットコミックスDIGITAL) 作者: 岩館真理子 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2014/02/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 岩館真理子さんの「わたしが人魚になった日」は,4つの作品からなる短編集です。表…
暗黒女子 (双葉文庫) 作者: 秋吉理香子 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2016/06/16 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (5件) を見る しばらく前のことですが,ミステリー好きの友達が貸してくれた本の題名に衝撃を受けました。秋吉理香子著「暗黒女子」…
以前,岩館真理子さんのマンガ,「森子物語」について書きました。ずっと「あっちの世界」のことばかり考えていた森子ですが,いくつかの出来事を通じて,彼女の「こっちの世界」への見方は変わっていき,物語は結末を迎えます。この「森子物語」のスピンオ…
森子物語 1 (マーガレットコミックスDIGITAL) 作者: 岩館真理子 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2017/09/01 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 高校生の頃,友達に勧められて買った1冊の少女コミックを,まるで恋するように好きになりました…
ぶらんこ乗り (新潮文庫) 作者: いしいしんじ 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2004/07/28 メディア: 文庫 購入: 20人 クリック: 600回 この商品を含むブログ (251件) を見る 吉澤嘉代子さんの本棚をきっかけに興味を持った作家,いしいしんじさんの作品を…
トリツカレ男 (新潮文庫) 作者: いしいしんじ 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2006/03/28 メディア: 文庫 購入: 9人 クリック: 43回 この商品を含むブログ (194件) を見る NHKの”SONGS”で吉澤嘉代子さんが取り上げられた際,彼女の部屋の本棚が紹介される…
嘘を愛する女 (徳間文庫) 作者: 岡部えつ 出版社/メーカー: 徳間書店 発売日: 2017/12/01 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 「嘘を愛する女」という本を読みました。とても面白かったです。主人公は由加利という三十路を目前にした女性です…
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